「また来たいと思わせるには、何が必要か?」
メンズエステ店を経営していると、集客ばかりに意識が向いてしまい、ふと気づくと「せっかく高単価で来てくれたお客様が、リピートせずに離れている…」ということはありませんか?
特に、いわゆる“エグゼクティブ客”と呼ばれる高額利用者は、一度来たきりで終わってしまうことが多く、定着させるのが難しい層でもあります。
実はその背景には、「制度としてのVIP設計がない」「ロイヤルカスタマー化の導線が存在しない」という根本的な問題が潜んでいることもあります。
つまり、どれだけ施術や接客の質が高くても、“また来たいと思わせる仕組み”がなければ、再来店にはつながらないのです。
今回は、高単価顧客をファン化し、LTV(顧客生涯価値)を最大化するためのVIPプログラム設計法をご紹介します。
実際に成果を上げている店舗の事例や、制度設計で失敗しがちなポイントも交えながら、「また来たい」ではなく「ここしかない」と思わせる仕組み作りを解説していきます。
なぜ“VIP設計”がエグゼクティブ客のリピートを左右するのか?

高単価なお客様を惹きつけることができたとしても、その後のフォローや関係性づくりがなければ、再来店は期待できません。
メンズエステにおけるエグゼクティブ層は、「サービスの質」だけでなく、「体験全体の設計」に敏感な顧客層です。
そのため、継続的なリピートを実現するためには、“制度化された特別感”が不可欠なのです。
高単価客ほど「体験」に価値を求めている
単にマッサージが上手、接客が丁寧、というだけでは満足されないのがエグゼクティブ層の特徴です。
この層は、“価格”よりも“価値”を重視しており、提供される体験が「自分にふさわしい特別なもの」であるかを無意識に測っています。
つまり、施術の中身よりも、「あの店では自分を丁重に扱ってくれる」「他では味わえない対応をしてくれる」といった心理的満足の設計が重要になります。
「また来たい」と思わせる心理的フックとは?
エグゼクティブ客は、自分が“選ばれた存在”であることに価値を見出します。
そのため、「VIP様限定のご案内」「特別優待のお知らせ」など、限定性や優越感をくすぐるコミュニケーションが有効です。
この“特別扱い”がしっかりと制度化されていれば、顧客は「自分だけが知っている場所」「ここは自分の店」と感じるようになります。
それこそが、単なるリピーターではなく、“ロイヤルカスタマー”へと変化する分岐点なのです。
継続されない原因の多くは“制度設計の不在”
「高単価なサービスを提供しているのに、なぜ定着しないのか?」
その答えは、多くの場合、“次のステップが用意されていないこと”にあります。
良質な体験を提供しても、それを継続する仕組みがなければ、お客様は「良かった」で終わり、他店へ流れてしまいます。
だからこそ、リピートの導線としてのVIP制度の設計が、今求められているのです。
VIPプログラム設計の基本構造:4つの柱

「VIP制度を導入したいけれど、何から考えればいいのか分からない」
そんな方のために、ここではVIPプログラムを設計する際に欠かせない4つの要素を紹介します。
これらを押さえることで、制度が“形だけ”にならず、実際にリピートとLTV向上につながるプログラムに進化します。
1. 誰をVIPにするか?〜対象設定〜
最初に考えるべきは、「どのような基準でVIPを定義するか」です。
売上だけで判断するのではなく、来店頻度・継続年数・紹介実績なども含めて総合的に判断する必要があります。
- 月3回以上の来店
- 年間累計〇万円以上の利用
- 2名以上の新規紹介 など
このように明確な条件を設けることで、お客様の“目標”にもなり、モチベーションを高める効果もあります。
2. どんな特典を用意するか?〜優遇内容〜
「VIP様には10%オフ」といった割引特典も一つの方法ですが、“体験の質”に直結する特典の方が満足度を高めやすいのがポイントです。
たとえば、
- 予約の優先枠
- 指名料無料
- VIP専用メニューや空間の提供
- 非公開イベントやセラピストとのプライベート接遇
といった「他では味わえない特別な体験」を設計すると、価格以上の価値を感じてもらえるようになります。
3. どうやって維持するか?〜継続インセンティブ〜
VIP制度は「入ったら終わり」ではなく、「どう維持するか」がカギです。
たとえば、有効期限付きの会員資格や、利用ごとのポイント付与などで、継続する理由づけを提供する必要があります。
- ・年間更新制
- 月間〇円以上の利用で継続
- ポイント失効防止のアナウンス
こうした仕組みによって、「使わなければ損」という心理が働き、リピート率が自然と上がっていきます。
4. 誰がどう管理するか?〜オペレーション設計〜
どれだけ魅力的な制度でも、現場で運用が回らなければ意味がありません。
スタッフが迷わず対応できるように、管理リストやマニュアル、LINEでの自動判定などの導入も検討しましょう。
- VIPステータスの可視化(スタッフ台帳や管理表)
- 対応手順の標準化
- 顧客データの定期更新と確認
オペレーションをスムーズにすることで、制度が“特別感”として正しく伝わり、現場のストレスも軽減されます。
成功している店舗のVIP設計事例3選

「VIP制度はうちにはまだ早いかも…」と思っている方にこそ知ってほしいのが、既に成果を上げている店舗の具体事例です。
それぞれの店が、立地や客層、スタッフ数に合わせて柔軟に制度を設計しており、規模にかかわらず実践可能です。
ここでは、異なるタイプのメンズエステ店で実際に導入され、効果を上げた3つのVIP制度をご紹介します。
事例1:月額VIP制でリピーター数が2倍に
ある都内のメンズエステでは、「月額制VIP会員制度」を導入したことで、リピート率が大幅に向上しました。
- 月額5,000円でVIP資格付与
- 優先予約枠の提供
- 来店1回ごとに10分延長無料
- セラピスト指名権の確約
この制度のポイントは、「月額費用を払ってでも得たい価値」が明確であること。
結果的に、会員化した顧客の平均来店回数は月1回→月2回に増加し、安定した売上基盤を構築できました。
事例2:限定イベント招待で“特別感”を演出
地方都市で展開する店舗では、年に数回だけ実施する**「VIP限定イベント」**を通じて、ロイヤルティの強化に成功しています。
- 季節ごとの特別施術コースの提供
- セラピストとの食事会、トークイベント
- VIP限定ギフトの進呈
このような体験型の特典は、「自分は選ばれている」という感情を喚起し、他店との差別化にもつながります。
結果として、対象者の継続率が90%を超える水準に達したとのことです。
事例3:紹介者優遇と連動したVIP制度
中規模店で導入されたのは、「紹介人数×利用実績」でVIP昇格する仕組みです。
- 新規紹介1人ごとにポイント加算
- 紹介者と新規客の双方に特典付与
- 一定ポイント到達でVIP資格自動付与
この制度は、新規集客とVIP制度をリンクさせることで、紹介のモチベーションを高めつつ、高単価顧客の獲得にもつながる設計です。
LTVの向上と新規獲得という2つの課題を同時に解決しています。
VIP制度の運用で注意すべき3つの落とし穴

VIPプログラムは強力なファン化ツールですが、設計や運用を間違えると逆効果になることもあります。
制度が「特別扱い」ではなく「えこひいき」と受け取られたり、現場が対応しきれず形骸化したり──。
ここでは、実際に起こりがちな失敗例を3つ紹介します。
1. “割引依存”型になってしまう
「VIP=割引」というイメージが強すぎると、制度の価値が“値引き”に偏ってしまい、価格目当ての顧客ばかりが集まる状態になります。
- VIP限定で毎回2,000円引き
- 会員なら指名料無料など…
一見魅力的に見えますが、粗利を圧迫する構造になりやすく、長期的には経営を圧迫します。
割引よりも、時間・空間・体験といった“無形価値”を重視した特典設計が重要です。
2. 管理が煩雑で現場に負担がかかる
VIP制度を導入しても、「誰がVIPか分からない」「特典の内容が把握されていない」といった現場混乱が起きると、スタッフのストレスやミスにつながります。
- 手書きの顧客台帳で管理
- スタッフ間で情報共有が曖昧
- 対応マニュアルが不在 など
運用に手間がかかりすぎる制度は、結局使われなくなり、「やっぱりVIPって意味なかったよね」と失敗事例として定着してしまいます。
3. 常連客との“距離感”が崩れるリスク
VIP客との関係が近づきすぎることで、他の顧客やスタッフとの距離感にひずみが生まれる場合もあります。
- 特定のVIPが横柄になる
- スタッフが対応に神経をすり減らす
- 他の顧客からの嫉妬や違和感が噴出
制度設計時には、“距離を詰めすぎない”バランス感覚が必要です。
VIPであっても「一線を守った丁寧な接遇」が基本であり、あくまで“仕組みとしての優遇”にとどめることが重要です。

まとめ:VIP制度は“絆”を育てる仕組みである
メンズエステの経営において、高単価顧客をただ「お金を落とす存在」として捉えるのではなく、長期的な関係性=“絆”を築く対象として見直すことが重要です。
VIP制度とは、その“絆”を言語化・制度化し、育てていくためのフレームです。
優れた施術や接客はもちろん大切ですが、それだけでは記憶には残っても、継続利用にはつながりません。
お客様に「ここは自分に合っている」「特別な扱いを受けている」と実感してもらうためには、感覚に依存しない“仕組み”が必要なのです。
今回ご紹介したように、VIP制度には4つの柱があり、それぞれに役割があります。
さらに、成功している店舗の事例を参考にしながら、自店の規模やスタイルに合った設計が可能です。
大切なのは、制度を導入すること自体ではなく、それを通じてどんな関係性を築きたいのか、という視点です。
特別扱いとは、金額ではなく「気持ちを形にすること」。
まずは、「誰をVIPにしたいか?」を明確にし、その人が「また来たくなる理由」を一つ、用意してみてください。
そこから、あなたの店舗の“ロイヤルカスタマー戦略”が始まります。