なぜ渋谷の競合エリアで“リピート率90%”が実現できたのか?
東京・渋谷。都内でも屈指の激戦区として知られ、メンズエステだけでも数十店舗がしのぎを削るエリアです。
そんな中、高級派遣型という制約の多い業態で、リピート率90%を実現している店舗があります。

「都心でこれだけ競合が多いのに、なぜ選ばれ続けているのか?」
その答えは、セラピストのルックスでも料金設定でもありません。
鍵となったのは、“顧客体験=CX(Customer Experience)”の設計でした。
この店舗では、予約後から施術後までのすべての接点を、「お客様にとってどう感じられるか?」を基準に設計しています。
それによって、初回来店者の大半がリピーターとなり、「あの人、また呼びたい」と思わせる仕組みを完成させているのです。
この記事では、そのCX施策の中身と、実際の運用フローを具体的にご紹介します。
渋谷×派遣型という“難しさ”にどう向き合ったか?
渋谷という場所で、しかも派遣型の高級メンズエステを運営するのは、非常にハードルが高いと言われています。
集客コストが上がりやすく、施術環境も店舗型に比べてコントロールが難しい――そんな状況の中、なぜこの店舗はリピート率90%という成果を出せたのでしょうか?
その背景には、渋谷特有の市場環境と、派遣型ならではの課題を深く理解し、徹底的にCX設計に落とし込んだ戦略があります。
渋谷というエリア特性
・同エリアにある競合店数は20〜30店舗以上
・価格帯、施術時間、オプションの内容も似通っており、「料金やメニューの差別化」が通用しにくい
・ユーザーは比較慣れしており、“少しでも不満があれば他店へ”という流れが常態化
つまり、「良かった」だけでは選ばれない。
「またお願いしたい」と感じさせる、記憶に残る体験が不可欠なのです。
派遣型の特有課題
- 施術場所はお客様の自宅やホテル=店舗と違い、空間の演出が難しい
- セラピストの移動・到着時間など、外的要因でサービス品質がブレやすい
- 初回客は、特に派遣型に対して不安を感じやすく、“1回で終わる”リスクが高い
これらを踏まえ、この店舗が取ったアプローチは、
「場所や価格で勝負せず、顧客体験そのものに投資する」という方向性でした。
リピート率90%の鍵を握る“CX施策”とは?
「またお願いしたい」「あの人じゃないと満足できない」
――その一言を引き出すために、この店舗ではCX(カスタマーエクスペリエンス)を徹底的に設計しています。
単なる“満足度”ではなく、顧客の記憶に深く刻まれる体験を提供することで、リピート率90%を実現しています。

ここでは、実際に運用されている3つのCX施策をご紹介します。
CX施策①:到着前から“非日常”が始まる「導線設計」
予約が完了した瞬間から、すでに「体験」は始まっています。
- LINEでの自動メッセージ配信により、セラピストの紹介動画や施術の流れ、持ち物案内を事前に送付
- 当日の注意点やマナー、セラピストの人柄が伝わる“プレコミュニケーション”を徹底
- 「このお店は、すでに私のことを考えて準備してくれている」という安心感を演出
こうした細かな配慮が、“おもてなし”として体感され、信頼と期待を高めるのです。
CX施策②:施術中は“徹底した五感演出”で記憶に残す
派遣型でも「空間をつくる」工夫は可能です。
- セラピストがアロマオイル・照明ライト・タオル類・音楽スピーカーを持参し、空間の五感設計を行う
- 接客前のヒアリングを短時間で完了させ、“カスタマイズされた施術”である感覚を生む
- 技術だけでなく、トークや所作も統一基準を設け、“一貫したブランド体験”を実現
「どのセラピストでも安心して任せられる」という再現性の高い接客が、信頼と満足を継続的に支えています。
CX施策③:施術後の「記憶に残る余韻づくり」
施術が終わっても、CXは終わりません。
- 施術後1時間以内に送られるお礼メッセージには、当日の印象やお客様への感謝が一言添えられる
- オプションで、セラピストの手書き風画像やボイスメッセージも配信可能
- “またお願いしたくなる余韻”を、物理的にも心理的にも残す
こうして「また呼びたい」という気持ちが強くなる設計が、自然な再来率アップに繋がっているのです。
なぜここまでCXに投資するのか?ビジネス面でのリターン
「そこまで細かく体験設計して、果たして回収できるのか?」
そう疑問に思う方もいるかもしれません。
しかし、この店舗ではCXへの投資が、数字として明確なリターンを生み出しています。
ここでは、リピート率90%がもたらすビジネス的メリットを整理します。
短期の集客競争ではなく、“体験”で勝ち抜く
渋谷のような激戦区では、広告を打ち続けても“初回だけで終わる顧客”が多数という現実があります。
- 競合店も価格も飽和
- ユーザーは“比べ慣れている”
- 広告→初回→離脱 のループが常態化
この流れを打破するには、“体験自体で印象に残る”設計が必要です。
CX施策によって、「思わず誰かに話したくなる」「またお願いしたい」と感じてもらえれば、SNS・紹介・クチコミといった自然流入が生まれやすくなります。
LTV最大化=“1人あたりの売上”を伸ばす仕組み
この店舗では、初回来店での売上は平均2万円前後。
しかし、CX施策を導入して以降、1人あたりの平均リピート回数は月2.3回、3ヶ月で平均LTVは5万円を超えるようになりました。

リピートによって得られる追加売上:
- 再訪による指名料
- リピーター向けのオプション利用率向上
- 満足顧客による友人紹介=新規顧客獲得コストの圧縮
つまり、「1回のお客様を3回・5回の顧客に変えることで、広告費以上の利益が生まれる」という構造が成立しているのです。
施策を定着させた「現場運用フロー」と教育体系
CX施策は、考えただけで終わってしまうことが多くあります。
この店舗が特筆すべきは、それらを“現場で回る仕組み”として定着させている点です。
個人任せにせず、再現性を担保するためのフローと教育体制をご紹介します。

ステップ1:CXマニュアルの整備と共有
- セラピスト向けに**「接客フロー」「非接触フロー(LINE、事前案内など)」を分けて設計**
- 手順は“チェックリスト+動画”で共有。新しいセラピストも即実践できる仕組みに
- 定期的な見直しにより、「現場の声」をマニュアルに反映し続けている
この“誰でもすぐに再現できる形”が、接客品質の安定と向上を実現しています。
ステップ2:週次レビューと“CXフィードバック”の文化化
- セラピストごとに接客後のレビューを「感想+CX視点の数値」で記録
- 週1で店舗全体に“印象的だった接客エピソード”を共有
- 「今月のCX賞」を設けて、成果を言語化し、モチベーションを可視化
こうして、スタッフ間で“良い接客の基準”を共有できる文化が醸成されています。
ステップ3:LINEステップ配信と自動フォローの設計
- 事前案内、施術後フォロー、リピート促進まですべて自動化された配信シナリオを構築
- セラピストは“接客に集中できる”環境を整備し、人的ミスや負担を軽減
- 顧客にとっては「いつも同じ安心の流れ」が体験として継続する
このように、「人に依存しない仕組み化」が、CXの質と安定性を両立させているのです。
まとめ:「CXで選ばれるサロン」が、渋谷の競合を超えていく
渋谷のような競合ひしめくエリアで、高級派遣型メンズエステがリピート率90%を実現できたのは、“価格”でも“立地”でもなく、徹底したCX(カスタマーエクスペリエンス)戦略があったからです。
- 予約前からの丁寧な案内と期待感の醸成
- 施術中の五感を刺激する演出と、パーソナライズされた接客
- 施術後の“余韻”まで計算されたフォロー体験
これらを単なる“思いつき”ではなく、誰でも実行できる仕組みとして現場に落とし込んだことで、ブランドとしての信頼を築き上げてきました。

今後メンズエステ業界で生き残るのは、
- 割引合戦に頼らない
- 広告費に依存しない
- “体験そのもの”で選ばれるサロンです。
あなたの店舗でも、まずは「予約後のメッセージ」からCX設計を始めてみてください。
たった1つの改善が、顧客との関係性と売上を確実に変えていくはずです。