なぜ“開業1年以内に閉店”してしまう店舗が後を絶たないのか?
メンズエステ業界は、比較的低コストで開業できることから、「副業として」「異業種からの参入」など多くの人がチャレンジしやすい分野です。
しかし実際には、開業から1年以内に閉店してしまう店舗も少なくありません。
エリアや人材の問題、資金繰り、集客の失敗――原因はさまざまに見えて、実は共通する“落とし穴”が存在しています。
この記事では、失敗店舗の実例をもとに、閉店を招いた5つの共通パターンと、そこからの再生策を具体的に解説します。
「今うまくいっていない」「開業準備中で不安がある」という方にも、必ずヒントがあるはずです。
1年以内で閉店した店舗に共通する5つの落とし穴

店舗経営に失敗する要因は複雑に見えて、実は多くのケースに共通点があります。
ここでは、開業から1年以内に閉店してしまった店舗に見られた5つの典型的な失敗パターンをご紹介します。
落とし穴①:「需要のない立地」でスタートしてしまった
- 駅からのアクセスは悪くない
- 人通りも一定数ある
それでも失敗するケースは多くあります。その理由は、“立地とターゲット層が一致していない”こと。
例:住宅地でビジネスマン向け価格帯、高齢者エリアで若年層の打ち出し
→「その場所に求められていない店」になってしまうのです。
落とし穴②:開業コストを“回収ありき”で設計していた
内装、家具、広告に大きく投資し、「この金額は半年で回収しないと」というプレッシャーから逆算した価格設定や集客施策を組む。
→ 高単価すぎて初来店のハードルが上がる/割引を連発して利益が出なくなる、という悪循環に陥りやすい。
落とし穴③:「とにかくセラピスト確保」が目的化していた
「まずは人を集めないと」という焦りから、採用だけに注力し、教育・定着・品質管理が後回しに。
- 対応がバラバラ
- トラブル対応に追われる
- 離職者が続出
→ 店舗ブランドが崩壊し、リピートがつかなくなる。
落とし穴④:マーケティングが“1発勝負”だった
開業時に広告を出すが、それっきり。
SNSは更新が止まり、LINEも整備されていない。
→ 初回だけの集客に終わり、リピートに繋がらないまま予算だけが消える。
落とし穴⑤:「店長=なんでも屋」で回らなくなった
小規模店舗にありがちなのが、「全部自分でやろうとする」運営。
- 受付、LINE返信、シフト調整、備品管理…すべて店長任せ
→ 業務が滞る → 対応が雑になる → クレーム増加、精神的に消耗、という悪循環に。
閉店を避けるためにできる“再生策”とは?

一度落ち込んだ売上や店舗状況も、原因を正しく見極めて、戦略的に立て直すことができれば、再生は可能です。
ここでは、実際に再生に成功した店舗が行った5つの改善アプローチを紹介します。
再生策①:商圏と競合の“再分析”+ターゲット設定
- 周辺人口、属性(年齢層、職業、生活スタイル)を再調査
- 競合店の価格、営業時間、広告手法を分析
→ 「自店はどこで勝てるか?」を再設定し、ターゲットを再定義
例:「オフィス街に夜型サロン」→「昼休み来店が見込めるランチ帯サービス」に切り替え
再生策②:固定費を変えずに「単価」と「稼働」を最適化
- 高単価路線をやめて「薄利多売」へ舵を切るケースもあれば、
- 逆に「リピーター特化」で客単価を上げる構成もあり
→ 重要なのは、“今の客層が望む価格帯と体験”に合わせて調整すること
再生策③:セラピスト育成を「顧客体験」視点で設計
- 接客時の導入トーク、ヒアリング、施術後のフォローなどをマニュアル化
- ロールプレイ研修や週次フィードバックでスキルと自信を強化
→ 定着率も上がり、サービス品質が上がることで自然とリピートも増加
再生策④:販促は「点」ではなく「線」で組む
- 広告は“初回来店まで”、LINE・SNSは“再訪促進とファン化”へ
- Lステップ導入で、登録→初回来店→7日後再来→月1リピートという“再来シナリオ”を自動化
→ 結果として、集客コストを抑えながらLTVが伸びる
再生策⑤:「店長が考える時間」を確保する仕組み
- LINE返信、勤怠管理、予約受付などを自動化・外注化し、“頭を使う仕事”に集中
- 週1回は業務から離れて、数字を見て戦略を立てる「経営時間」を確保
→ 店長が「運営から経営」に頭を切り替えるだけで、店全体の改善スピードが上がる

再起した店舗のストーリー:改善から半年で黒字転換した事例
「もう閉店するしかないかも…」
そう語っていたオーナーが、半年で黒字化を実現した成功ストーリーがあります。
ここではその具体的なビフォー・アフターと、実施した再生策をご紹介します。
Before:負債月40万円/リピート率12%/セラピスト稼働3名
- 月商は100万円前後だが、広告費と人件費で赤字が常態化
- LINEやSNSは未整備で、“集めて終わり”の集客構造
- スタッフは離職が続き、常に「急募」の状態
- 店長は受付・返信・クレーム対応などに追われ、改善に手が回らない
実施した改善アクション
- Lステップ導入で再来動線を自動化
→ ステップ配信により、初回来店から次回予約までの流れを設計 - セラピスト向け接客研修とフィードバックシートを整備
→ 顧客からの「また来たい」につながる接客を全員で再構築 - 月次でKPIレビューを実施
→ 客単価・指名率・稼働率を共有し、改善サイクルを構築 - SNS運用を“ファンづくり”に切り替え
→ 投稿内容を「人柄発信」「お客様の声」「スタッフの日常」などに刷新
After:月商230万円/リピート率48%/セラピスト稼働6名
・集客数は大きく増やさずとも、リピート率が4倍になり売上が倍増
・セラピストの定着率が上がり、安定した運営へ
・広告費を抑えつつ、利益構造を改善
・店長が週1で経営レビューに集中できるようになり、戦略的な判断が可能に
このように、“数値と仕組み”を整えることで、半年で見違える結果が得られることが証明されたのです。

まとめ:「経営の失敗」は“修正可能な設計ミス”である
店舗経営において「失敗」は決して珍しいことではありません。
むしろ、多くのオーナーが一度は壁にぶつかり、「閉店」を考える瞬間を経験しています。
しかし、その多くは“取り返しのつかない失敗”ではなく、単なる設計ミスです。
- 立地とターゲットの不一致
- 無理な価格設計
- 採用・教育・定着の不備
- 販促導線の断絶
- オーナーの負担集中による判断力の低下
これらを仕組みで見直し、再構築することで、店舗は再生できるのです。
再起の第一歩は、「今、自分の店舗はどこでつまずいているのか」を冷静に見つめること。
そして、数値を見て、現場の声を聞き、少しずつ改善する仕組みをつくること。
必要なのは、「能力」ではなく「視点」と「継続的な行動」です。
どんな失敗も、学びに変えられれば、それは未来の成功の土台になります。
ぜひあなたの店舗でも、今回紹介した再生策のどれかひとつから、実行してみてください。