リピート率20%アップは「顧客情報の扱い方」で決まる
「新規は取れているのに、2回目以降が続かない」
「施術中に“前回どんなメニューだったっけ?”と迷うことが多い」
そんな悩みを抱えているメンズエステ店舗は、意外と多いものです。
顧客に再来店してもらうために、割引やキャンペーンを繰り返していませんか?
でも実は、それ以上に重要なのが「顧客情報の活用」=CRMの運用です。
CRM(顧客管理システム)を導入し、顧客の来店履歴や好みを記録・活用するだけで、リピート率が20%以上向上した店舗もあります。
たしかに、「データをどう使えば売上に直結するのか分からない」と感じる方もいるでしょう。ですが、ポイントは「記録すること」ではなく、「その情報を再来につなげる仕組みを持っているかどうか」なのです。
この記事では、CRMを活用してリピート率を20%改善した実例をもとに、選定のポイントと運用フローをわかりやすく解説します。
あなたの店舗でも再現可能な方法ばかりですので、まずは読み進めてみてください。
CRMとは?なぜメンズエステに必要なのか
「CRM」とは、“Customer Relationship Management”の略で、顧客との関係を管理・最適化する仕組みのことを指します。
単なる顧客リストやメモ帳とは異なり、情報を蓄積し、活用することで「再来店につなげる」ためのツールです。
メンズエステにおいても、CRMはただの記録帳ではなく、接客力と収益性を高める武器として機能します。
CRMの定義と基本機能をおさらい
代表的なCRMには、以下のような機能が備わっています。
- 顧客情報(名前、年齢、連絡先)の一元管理
- 来店日、指名セラピスト、施術メニューの履歴管理
- 属性や来店履歴に基づいたメッセージ配信やキャンペーン設計
- クーポンやポイント情報の付与と追跡
これらを活用することで、「このお客様には、どんなタイミングで、どんな提案をすべきか」が見えるようになるのです。
なぜメンズエステにCRMが必要なのか?
メンズエステでは、一人ひとりの接客がサービスの価値を大きく左右します。
にもかかわらず、接客情報が“セラピスト個人の頭の中”に閉じてしまっているケースが多いのです。
CRMを使えば、
- 「◯◯様は強めのマッサージが好き」
- 「前回の会話で腰痛を気にされていた」
- 「◯◯さんの施術に高評価」
といった情報が可視化・共有され、どのスタッフでも質の高い接客が可能になります。
さらに、アナログ管理ではミスが起きやすく、紙の台帳が失われればすべてが水の泡。CRMなら、情報はクラウドに残り、“店舗の資産”として積み上がっていきます。
実例:CRM導入前と後でリピート率がどう変わったか
ある中堅店舗では、CRM導入前のリピート率が17%。
特に2回目来店までの“つなぎ”が弱く、顧客情報もバラバラで「誰が何を受けたか」が分からなくなっていました。

導入後は、セラピストが施術後すぐに記録を残し、来店3日後に「お礼メッセージ+次回提案」を自動で送る仕組みを構築。
結果として、3ヶ月でリピート率は36%まで上昇。
「ちゃんと覚えていてくれた」と顧客の信頼も高まり、指名率も安定するようになったのです。
CRM選定の3つの基準:導入失敗を避けるために
「CRMが重要なのは分かったけど、どれを選べばいいのか分からない」
多くの店舗がこの壁にぶつかります。
CRMにはさまざまな種類があり、価格帯や機能もバラバラ。
間違った選定をすると、「高額なわりに使いにくい」「現場のスタッフが定着できない」といった問題が起こります。
ここでは、メンズエステ店舗がCRMを選ぶ際に外せない3つの視点を紹介します。

基準①:業態に合った柔軟なカスタマイズ性
メンズエステでは、「ただの顧客台帳」では足りません。
たとえば、次のような情報が記録できるかどうかを確認しましょう。
- 指名セラピストや対応履歴
- 施術メニュー、使用オイル、オプションの履歴
- 施術中の会話で得た嗜好・注意点
- クレーム・高評価など、感情の記録
これらを入力できる自由度の高いカスタム項目機能があるかどうかが、非常に重要です。
また、スタッフごとに閲覧制限や入力制限が設定できると、セキュリティ面でも安心です。
基準②:スタッフのITリテラシーに合った操作性
いくら高機能でも、「使いづらい」「入力に手間がかかる」CRMは、現場に根付きません。
導入しても、1ヶ月後には使われていない…という事態にもなりかねません。
理想は、
- スマホやタブレットから簡単に入力・閲覧ができる
- 施術後すぐに、2〜3分で記録できるUI
- 視覚的に「誰がいつ来たか」が把握できるダッシュボード
「現場でどう運用するか?」をイメージしながら、操作画面のデモを確認してみてください。
基準③:マーケティング機能の拡張性
CRMの真価は「顧客情報を集めること」ではなく、「それを活用してリピートを生み出すこと」にあります。
そのため、以下のようなマーケティング機能の有無も確認ポイントです。
- LINE公式やメール配信との連携機能
- クーポン発行、ステップ配信、再来促進メッセージ
- 属性タグやセグメント分けに基づく配信管理
「顧客情報の登録→販促→反応の可視化」までがワンストップで完結するCRMが理想です。
リピート率を上げるCRM運用フロー
CRMは、導入しただけで成果が出るものではありません。
成果を上げるには、「どの情報をどう記録し、どう活用するか」の設計が不可欠です。
ここでは、リピート率を高めるための実践的なCRM運用フローを3ステップで紹介します。

ステップ1:顧客情報を“施術体験ベース”で整理する
顧客の基本情報だけでなく、以下のような“施術体験”に関わるデータを記録しましょう。
- 来店の目的(疲労回復/癒やし/会話を楽しみたい など)
- 施術の強さ・部位の好み・使用オイルの種類
- 会話内容や顧客の反応、次回への希望
- 終了後の表情や満足度(スタッフの主観でもOK)
こうした情報を記録することで、次回来店時に“前回の続き”のような接客ができるようになります。
これは顧客にとって、「この店、ちゃんと覚えていてくれてる」と感じられる安心感に直結します。
ステップ2:リマインド配信・再訪問フォローを設計
CRMの情報は、「適切なタイミングでの再接触」にこそ価値があります。
たとえば以下のような自動化フローが有効です。
- 来店3日後:「本日はありがとうございました」メッセージ+次回予約リンク
- 来店7日後:「今週の空き状況」「次回指名者のおすすめコメント」
- 30日来店なし:「そろそろ癒されたい頃では?」+期間限定クーポン
このように、来店履歴に応じて「自動で」「気づかれないレベルの自然な流れ」でメッセージが送れると、顧客のリピート率は大きく上がります。

ステップ3:データをもとにキャンペーン設計&改善
CRMを活用すると、「リピートしている人/していない人」の傾向が数値で見えるようになります。
これを元に、“来店ステージ別”のキャンペーン設計が可能になります。
- 3回来店未満の顧客向け:「再訪で使える指名無料クーポン」
- 常連客向け:「5回目来店記念クーポン」
- 来店30日以上空いている顧客:「限定復活キャンペーン」
配信結果の開封率・クリック率・再来率などもチェックすることで、施策の“打ち手と反応”をセットで可視化できるようになります。
この改善ループを回すことが、CRM運用の最終形です。
まとめ:CRMは“顧客理解を武器にする”ための道具
CRM(顧客管理システム)は、単に情報を保存するためのツールではありません。
「顧客一人ひとりの記憶を、組織全体で共有し、再来店へとつなげる仕組み」です。
リピート率を改善したいと考えるなら、まずは顧客が「覚えていてくれている」「自分に合った提案をくれる」と感じられる体験を設計することが重要です。
そのために、CRMはもっとも効果的な“データの道具”になります。

とはいえ、最初から完璧な運用を目指す必要はありません。
まずは基本情報と来店履歴、施術の好みを記録するところからスタートし、少しずつ「リマインド」「タグ分け」「自動配信」と広げていけばOKです。
最初は手間がかかるように感じるかもしれませんが、その蓄積が確実に店舗の“資産”となり、リピート率やLTV(顧客生涯価値)を押し上げる力になります。
次回の記事では、CRMとLINE公式アカウントを連携させて「さらにLTVを最大化するマーケティング戦略」についても紹介予定です。
まずは、自店舗に合ったCRM選びと、今日からできる小さな記録の一歩から始めてみてください。