「単価を上げたら、常連が離れていくかもしれない…」
そんな不安から、価格改定を先送りにしているメンズエステ経営者は多いのではないでしょうか?
実際、値上げは経営にとって“賭け”のように感じられるものです。
ですが、ある店舗では施術単価を1.5倍に引き上げたにも関わらず、予約数がむしろ増えたという事例が報告されています。
そのカギとなったのは、ただ価格を上げるのではなく、「価格=価値」と感じてもらえるような戦略的アプローチでした。
- 値上げで予約が増えるってどういうこと?
- 実際にやったことは?
- どうやって顧客に納得してもらったのか?
この記事では、実際の成功事例を交えながら、価格改定で単価アップと予約増加を同時に実現した“科学的な設計手法”を詳しく解説します。
なぜ価格を上げたのに予約が増えたのか?

価格を上げると顧客は離れる——そう信じている方も多いと思います。
しかし、それは“価格=金額”としか見ていない思考です。
実際には、**「価格=価値」**として捉える消費者心理を活かせば、単価アップと予約増加は両立可能なのです。
「値段=価値」の心理を逆手に取る
人は高い商品に対して「質も良いはず」と期待する傾向があります。
これは「価格のハロー効果(Halo Effect)」と呼ばれる心理で、特に癒しや体験型サービスでは顕著に表れます。
つまり、価格を上げることは、ブランド価値や信頼性を“強化する手段”でもあるのです。
例:
- 90分10,000円の施術 → 「普通」
- 90分15,000円の施術 → 「高級」「プロがやっている」
このように、「高いからこそ選ばれる」という心理的ポジションを取りに行く戦略が成功のカギになります。
“ターゲット顧客層”の再定義がカギ

価格を上げたときに離れる顧客も確かにいます。
しかし、それは「価格感度が高い層=価格だけで選ぶ顧客」です。
実際の成功事例では、価格改定後に
- 予約キャンセルはあったが、
- 新規・再訪の単価が高い顧客が増加し、
- 結果として予約数と売上の両方が向上しています。
つまり、高価格にふさわしい顧客層に届くようなブランディングと導線設計をすることが前提なのです。
価格改定の失敗あるあるとその原因

価格改定は効果的な一方で、設計を誤ると顧客離れや売上減少のリスクを伴う施策でもあります。ここでは、実際に現場でよく見られる「価格改定の失敗パターン」とその背景を解説します。
料金だけ変えて、内容が変わらない
最も多いのが、「値上げしたのにサービス内容が以前と変わらない」というケースです。
顧客にとっては、価格が上がったのに“得られる体験が変わらない”と感じた瞬間に不満が生まれるのです。
- 施術の質が同じ
- 空間も接客も変化がない
- 説明もないまま価格だけ上がっている
これでは、「え、なんで?」という疑念だけが残り、再来の意欲が下がる原因になります。
事前説明なしで突然値上げ
価格改定のタイミングでの告知方法も重要です。
- ある日いきなり価格表が変わっていた
- 予約時の案内と異なる金額を請求された
こうした“事前説明の欠如”は、信頼感の大きな毀損要因です。
理想は、「予告→理由の説明→実施」の三段階設計。
これにより、顧客が納得しやすくなり、価格改定そのものをスムーズに受け入れてもらえます。
「高くなったね」で終わるコミュニケーション不全
値上げに対する不満は、価格そのものではなく、「説明がなかった」「気持ちに寄り添ってもらえなかった」ことに起因します。
- 「今回は少し変わった部分があります」
- 「価格は上がりましたが、内容もそれ以上に充実しています」
こうした“対話型の説明”を加えるだけで、印象はまったく変わります。
逆に、「無言」での値上げは、不信感を生む大きなリスクです。
実例に学ぶ:単価1.5倍でも成功した店舗の取り組み
ここでは、実際に価格を1.5倍に引き上げつつ、予約数の維持・増加に成功したメンズエステ店舗が実施した具体的な施策を紹介します。重要なのは、“価格を上げた”のではなく、“価値を設計し直した”という点です。
事例1:施術時間を短縮+価値を凝縮(時間単価アップ戦略)
90分コースを70分に短縮し、価格は逆に12,000円から18,000円に改定。
その代わりに、以下のような工夫を行いました。
- 前後の説明時間を圧縮し、施術時間の「体感密度」を上げる
- 「あっという間に終わる」「集中して癒される」と好評価
- 回転率も上がり、スタッフの負担も軽減
結果として、1人あたりの施術数が増え、売上総額も向上しました。
事例2:空間と体験設計のグレードアップ
価格改定に合わせて、施術以外の体験価値を強化。
- 照明を暖色から間接照明に変更し、ラグジュアリー感を演出
- 施術前にオーガニックティーを提供
- 香りの演出を季節ごとに変化させる
これにより、「癒される空間」「高級ホテルみたい」といった口コミが増え、価格改定後の評価が向上しました。
事例3:予約導線をVIP感ある仕様に変更
LINE予約の自動応答やDMの文章をリニューアル。
- 「この度はご予約ありがとうございます」から
- 「◯◯様だけの特別な時間をご用意いたします」に変更
ほんの少しの言い回しの変化が、顧客の期待感と納得感を底上げしました。
「これなら高くなっても納得」との声も複数届いたとのことです。
価格改定で予約数を維持・増加させる3つの科学的原則
価格を上げるとき、ただ「値段を変える」だけでは足りません。
顧客の心理や行動に合わせて“納得してもらう設計”を行うことが、成功の分かれ道になります。ここでは、予約数を維持・増加させた店舗が共通して実践していた3つの原則を解説します。
原則①:価格変更前の“認知期間”を設ける
いきなりの価格改定は、顧客に「裏切られた」と感じさせる原因になります。
そのため、変更の1〜2週間前から予告を行うことが大切です。
例:
- 「◯月◯日より価格改定を実施予定です」
- 「内容の見直しとサービス向上のため、料金を調整させていただきます」
この“予告フェーズ”があることで、顧客は心理的な準備ができ、受け入れやすくなります。
原則②:“変わった点”を具体的に伝える
ただ「値上げしました」では、顧客は離れてしまいます。
価格改定の際には、「どう変わったのか」「何が良くなったのか」を具体的に伝えることが信頼構築につながります。
例:
- 「新たに◯◯オイルを導入し、保湿効果がUPしました」
- 「リクライニングチェアを導入し、施術後のリラックス感が向上しました」
価格ではなく、“変化の理由”に納得してもらうことがポイントです。
原則③:“価値比較”ではなく“期待比較”を刺激する
他店との価格差で競うと、価格競争に巻き込まれます。
それよりも、「この価格で、どんな期待ができるか」を伝えることが効果的です。
- 「ここにしかない空間」
- 「この人にしかできない接客」
- 「非日常を感じられる時間」
このように、価格ではなく体験や感情の“期待値”を演出することで、高価格でも自然と選ばれるようになります。
単価アップと相性の良い施策とは?
価格改定は単独で行うよりも、他の施策と組み合わせることで効果を最大化できます。ここでは、単価を上げるタイミングで導入すべき、相性の良い施策を紹介します。
オプションのバンドル販売
単価アップを実現しやすいのが、セット販売による“お得感の演出”です。
例:
- 通常コース+アロマ変更+ホットオイル → 通常13,000円 → セットで11,800円
- 期間限定「癒し強化パック」など名前をつけて商品化
これにより、「ちょっと高いけどお得かも」という納得感が生まれ、購入率が上がります。
予約枠の限定化と“希少性”演出
「いつでも予約できる」よりも、「限られた枠しかない」方が顧客は価値を感じやすくなります。
- 1日3枠限定コース
- ◯曜日のみ選べる特別プラン
- 常連様優先予約枠などの設定
価格が高くなっても、「枠が埋まる前に…」という心理が働き、リピートと予約確保につながりやすくなります。
口コミ強化と満足度の言語化
価格に対する信頼性は、実際に体験した人の声によって裏付けられます。
- LINEで施術後の感想をヒアリング
- Googleマップやポータルサイトのレビュー強化
- InstagramやHPでお客様の声を定期更新
これにより、「この値段でも満足できる人がたくさんいる」という“社会的証明”が働き、価格に対する不安を払拭できます。
まとめ

価格改定は、単なる「値上げ」ではありません。
それはサービスの価値を再設計し、顧客との新しい関係性を築くチャンスです。
単価を1.5倍に引き上げても予約が増えた事例に共通していたのは、次の3つの視点でした。
- 価格=価値と感じてもらう設計
- 顧客心理に寄り添った説明と導線
- 高単価にふさわしい体験づくり
価格だけを見て離れるお客様がいる一方で、価格を通じて“選ばれる理由”が明確になることもあります。
大切なのは、「なぜ値上げするのか」ではなく、「どんな価値を提供するのか」を明確に伝えること。
本記事をヒントに、ぜひあなたの店舗でも価格と価値の関係を見直し、利益率と満足度が両立する価格戦略を設計してみてください。